4.全体システムの開発
4.1全体システムについて
前項までは、大深度海中動力源システムに必要とされる要素技術である機関本体技術、高圧燃焼技術、排ガス凝縮および排出技術について個々に取り組んできた。ここでは、これまでに開発してきた各要素技術を実際に組合せ、全体システムとして潜水調査船に必要とされる能力について確認を行った。また、実際の潜水船への反映点とするべき事項について考察した。
4.1.1全体システムの計画
潜水船用海中動力源システムにおいて、その消費電力は船の運転状態、機器の使用状況により変化すると考えられる。たとえば、。推進用スラスタの消費電力、ソーナー、カメラなどの機器類の使用状況により、時々刻々と所要電力が変化する。しかしながら、スターリングエンジンは、その作動原理からも急激な出力変動への追従に最適とは言いにくい。
そこで、本研究では、エンジン出力を一定としつつ、発電機側で出力制御を行うことにより、この点を補うことを検討した。基本的には、スターリングエンジンそのものは一定の運転状態にあり、その発電出力を各機器に供給し、余剰電力は電池に充電、不足電力は電池からバックアップを受けることで対応するものとした。図4.1.1-1(上段)にシステム図の概略を示す。
スターリングエンジン、発電横から取り出した電力は負荷調整盤を介し、その時点で負荷(各機器)に必要とされる電力を主配電盤から負荷(各機器)に供給する。この時、スターリングエンジンが所要量以上の電力を出力しているならば、その余剰分を電力調整器を介して、電池へ充電する。逆に、エンジン出力以上に電力を必要とする場合あるいはエンジン停止時には、負荷補償用電池から電力を機器へ供給する。
本システムにより、スターリングエンジンを定常運転させつつ、かつ負荷変動に対して十分対応できる動力源システムを構築できる。
4.1.2試作システムの検討
前項において検討を行った全体システムに対し、その負荷制御能力を確認する為の試作システムについて検討した。図4.1.1・1(下段)に試作システム図を示す。上段の全体システム図との主な相違点は、試作システムでは電池に代わり負荷器を装備するところにある。
電力の被供給機器に相当するものとして試験用負荷器を、電力吸収用電池に相当するものとして負荷器を配置している。試作システムにおいては、スターリングエンジンの出力に対し、余剰電力分を電力調整器を介して負荷器で吸収する。但し、エンジン出力に対し所要負荷が上回る場合は、試作システムに負荷補借用電池を装備していない為不足分の電力を供給することはできない。しかしながら、この場合については、あらかじめエンジン出
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